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2023.10.26
11月の仏事 「新嘗祭」
新嘗祭は「にいなめさい・しんじょうさい」と読み、宮中祭祀の中でも重要な位置を占める行事です。
新嘗祭では天皇が五穀の新穀を天神地祇にすすめ、自ら食してその恩恵に感謝して翌年の豊作を祈願します。
新嘗祭は宮中だけでなく伊勢神宮や出雲大社でも行われ、戦前は一般の日本人にも親しまれていました。
実は勤労感謝の日とも密接な関係のあるこの新嘗祭についてご説明します。

新嘗祭は毎年11月23日に宮中や全国の神社で行われる祭祀で、「収穫祭」と言えるものです。
春先の2月17日に行われる、豊穣を祈願するための祈年祭(きねんさい、としごいのまつり)に対するものとしてセットとなる祭祀でもあります。
皇室行事としての新嘗祭では、宮中の「神嘉殿(しんかでん)」に神座と御座をつくります。
そして23日の夕方に天照大御神と天神地祇(すべての神様)に神膳を供え、天皇自らも食事をともにします。
さらに明けた24日の早朝にも同じように食事をしながら神々をもてなして感謝を示し、お見送りをします。
このように天皇が神と交わる大事な日であるために、古来より特別な祭祀とされてきたのです。
なお、現代ではこのときに使われる新穀について、各都道府県から2軒ずつ選ばれた農家が献納することになっています。

さて、この新嘗祭は1873年から戦後の1947年まで、国民の祭日として親しまれてきました。
しかし第二次世界大戦後、GHQの占領政策の一環で、宮中行事である新嘗祭を国が定めた休日から切り離すという措置が取られました。
休日自体は残すものの、その名称として新たに考案されたものが「勤労感謝」というわけです。
これにはちょうどアメリカでも全く同じ時期に「サンクスギビングデー(11月の第4木曜日)」があり、
いずれも「収穫祭」としての意味合いがあったことが理由のひとつに考えられます。
また「収穫」とすると感謝の対象が農業などに偏ってしまいますが、「勤労感謝」であればすべての職業が対象になります。
都市化や近代化にともない、働き方が一次産業から製造業などに変化していく中では自然な流れだったのかもしれません。
なおこの結果、勤労感謝の日は今に続く固定された祝祭日のなかで、もっとも古い歴史を持つ休日となっています。

新嘗祭とは、天皇がその年の作物の恵みを神様に捧げ感謝し、自らも食するという神道にもとづく行事です。
秋の収穫の時期には、ご自宅でも同じように収穫物(新米)を用意し、あらためて感謝の気持ちを示してみると良かもしれません。
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